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あなたに ここにいてほしい
レディー・ジョーカー読み終えました。
合田雄一郎のファンになりました。
次も合田刑事シリーズの「太陽を曳く馬」です。

 二階スタンドにこもったその低いざわめきの下から、ときどき破れた送風管から空気が漏れるような喘ぎ声が一つ、挙がっていた。一人の女児がベンチの上で上体をよじらせ、ねじり上げるように首を突き出し、振りながら、喉を振り絞っているのだった。やがて、女児の喉からは空気混じりの激しい濁音が漏れ、それは間もなく「あぁ、おぉ」という不鮮明な母音しかない言葉に変わった。女児は「スタート」と言ったのだ。


この女児が仲間たちから「レディ」と呼ばれるようになるのですが、7年くらい前に撮影したある重度障害児施設を思い出しました。そこはYという競輪選手が、自分が稼いだ賞金のほとんど全てを注ぎ込んで作った施設です。Yさんのお子さんが重度障害児で、当時はそういった施設もなく、Yさんが呼びかけ、同じような境遇の保護者の方がYさんの家に集まってみんなの子どもの世話をしていたそうです。詳しい話はもう忘れましたが、入所希望者が増えたりで手狭になり、ちゃんとした施設を建てようとなったのでしょうね。

Yさんは自分の賞金だけでなく、転戦した競輪場に募金箱を置いてもらい、募金活動もしたそうです。自分が負け、ファンの期待を裏切っても募金はしてくれたりとか、驚くほどの金額が集まったりとか、感動したそうです。高知競輪ではそのYさんの功績を讃え「Y.I記念杯」というのがあります。

ラストです。

 久保は、どこからか押し寄せてくる奇怪な振動に包まれながら、あらためて周囲を眺め渡した。畑の周囲に広がる草地には立木が数本生えており、その一本には栗毛のサラブレッドが一頭つながれて草を食んでいた。その立木の向こう側の木陰には、さらに車椅子があり、その上で空を泳ぐようにゆっくり上下している誰かの腕があった。男か、いや女かと思いながら目を凝らしとき、今度は背後から犬の声が響いてきて、久保は振り向いた。



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施設の人々を撮るあいだ、僕の中には
ピンクフロイドの「wish you were here」が流れていました。
フロイド側から

「あなたに ここにいてほしい」

と邦題タイトルを指定された作品で、僕が一番好きな曲です。





いまでもきみには分かるでしょう?
天国と地獄、青空と痛み
緑の野と冷たい鉄路
本当の微笑と偽りの笑顔
ちゃんと見分けはつくでしょう?

なのにきみは自分の理想を売り飛ばし
幽霊達と仲良くしてるの?
熱い灰を青くさい木と交換させられ
燃える想いを冷まされて
不本意な変化を強いられたの?
戦いに加担する気でいたのに
檻の中の主役になってしまったの?

ああ、僕は今とてもきみに居て欲しい!
今の僕達は来る年も来る年も
金魚鉢の中をさ迷うあわれな魂
走れど走れど風景は同じ
その果てに見い出したものは
昔と変わらぬ恐怖のみ
‥‥‥きみが居てくれたら‥‥‥

<対訳:岩谷宏>









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